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TDR等のデータロガの現況

データロガの小型・軽量化はめざましい進歩を遂げている。ロテック社は耐深3000mで20g以下の10年間連続記録することのできるデータロガの開発を進めており、本年度中に量産できる状況にある(図6:深海性魚類への応用)。大きさや形が形状においても多種多様を極めている。また廉価である。開発当初は、データロガのデータ較正や原データのデータベース化にかなりの労力と時間を要したが、現在では、解析プログラムの開発が進み回収したデータロガより容易にデータを取り込み、他の海洋観測データと併せて解析作業を進めることができるようになった。また、データロガを提供する企業のバックアップとアフターケアーが充実してきたこともうかがえる。これは、サテライトタグにおけるアルゴス社と同様のサービスがインターネットを受けられる地域であればモバイルによって受けられるようになっている(システムの開発と構築が飛躍的に進んだ結果と考えられる)。

海洋データとして塩分(電気伝導度)の情報収集については、あまり開発が進んでいないのが現状である。ベムコ社では、7日間程度であれば電気伝導度を連続収集できるセンサーを開発している。これは、海洋観測機器の昇降装置を有しない遊漁船や小型船舶を用いてCTD(XCTDよりも小型で簡便)観測が釣り漁具で実施できる。

位置情報に関しては、照度や磁場を用いて100km程度の誤差範囲で得るまで至っている。

データロガの開発は、海洋環境とともに心拍数、体温及び運動といった動物体の生理活動情報を収集する技術開発が進められている。

追跡技術に関しては、空中ではVHFで、水中では音響が用いられている。水中では1000mが追跡限界であるが、小型の受信モニターなどが開発されており、受信捕捉範囲は狭い(半径10km四方)がサテライトタグによる衛星受信システムと同様に、動物体からの海洋観測情報や船舶による追跡をサポートするシステムが確立されつつある。(ロテック社のMr.Keith Stoodley及びべムコ社Mr.Frederick A.Voegeliからの聞き取りを整理した。)

 

 

 

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