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また、サテライトタグの発信基盤は、水圧及び衝撃により破損がVHFやラジオタグのものと比べて脆弱であることがあげられ、装着時の破損や固定式は浮力体が無いために脱落によるロスもタグの多さを反映している。

TDR with VHFラジオタグは、TDRもVHFも50g以下の小型軽量のものが用いられている。タグ自体の大きさや重さは、浮力体の材質によるところが大きい。キタトックリクジラへの装着の場合、耐深1000mを考慮し浮力体の材質として発砲ガラスが選ばれているので、比重の軽いウレタンのような材質のものよりかさ張り重量も重くなる。発砲ガラスの場合、ウレタンの2倍程度の大きさと重量となる。水圧による破損及び浮力低下という点から発砲ガラスを浮力体として用いなければならない。TDRなどのデータロガやVHFは年を追って耐圧性能とともに小型軽量化が進んでいる。浮力体もそれに伴って減少している。サクションカップの場合、ピンと比べ長期間の装着は望めない。これまでの研究成果は、タグの小型軽量化によるところがおおきい。サクションカップ及びタグの大きさは相関関係にある。短期間の情報収集と回収の点からは、サクションカップの装着は有効であるけれど、回遊行動を見る場合は長期間の装着が前提なので、ピン固定に勝るものはない。潜水行動研究においてもピン固定式が採用されているが切り離し装置を付加することで、タグ自体が大きくなることから敬遠されている。サクションカップによる装着は、長期間の情報収集は望めないが、短期間の情報を数多く収集することで情報の蓄積と精度の向上を図り解析を進める形をとっている。

装着方法に関しては、回遊行動研究ではピン打ち込み式が、潜水行動研究ではサクションカップ式という使い分けが進んでいる。特に潜水行動研究の場合、鯨体を傷つけることをさけることから、ピン打ち込み式よりもサクションカップを進んで使う傾向にある。(Dr.Bruce Mateのコメント及びDr.Sascha Hookerからの聞き取りを整理した。)

5. 機器開発の現況

サテライトタグの現況

現在、鯨類に装着されているサテライトタグとしては、Oregon State University Marine Mammal Programで用いられている直径19mmの長さ230mmの筐体型が最も軽量小型のものである。10分間隔で発信し247日間の水温及び水深情報を送信することができる。

 

 

 

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