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4-3-2 ポリウレタンアンカー方式の試作

 

ここでは、詳細はまだ固まっていないので実験装置設計に関する下記項目について述べる。

(1) 2液混合システムの選択

本方式の開発を推進する当会会員および協力を得た関係企業では、DRN-3071(ポリオールプレミックス)とDC-9511(変性ポリイソシアネート)の2液よりなる硬質ポリウレタンフォーム用のシステムを考案し、特に、DRN-3071の微調整により最高硬度を発現する仕様として、室内試験で温度(0℃〜20℃)を変えて実験し、装着実験用の2液を調合した。なお、このシステムでは温度変化に対しても、発泡倍率がほとんど変わらないという特徴を持っている。

(詳細については添付「DRN-3071/DC-9511システムによる反応性データ」および「製品安全データシート」を参照されたい。)

(2) 衝突混合方式の採用

図4-3-6に示した「衝突混合装置」に明らかなように、衝突混合の効率と小型軽量化を目指して、この図のように互いに40度の角度で2液が衝突するように配置した。

(3) 小型高圧炭酸ガスボンベの採用

図4-3-2「鯨アンカーテスト装置組立図」に示すように、2液の混合のための押し出し力を小型高圧炭酸ガスボンベにより、行うこととした。本方式の考え方は実機を作る場合にも大いに参考になるものと考えられる。

(4) 模擬鯨肉の製作

十分な実験回数をもって、本方式のアンカー力を計測できるようにするために、入手が困難な実際の鯨肉に代わって、人工の模擬鯨肉を製作することとした。製作にあたっては、本委員会の委員の―人である日本鯨類研究所・西脇氏のご指導を得て、シリコンゴムの硬さおよび厚さを調整して製作したが、きわめて近似性のある模擬鯨肉の製作に成功した。

これは、図4-3-7「模擬鯨肉」に示すように、表面の脂肪層と筋肉層とその間の筋膜を模擬したもので、脂肪層では衝突混合した発泡硬質ポリウレタンは横方向に広がらず、銛に沿って表面に飛び出てしまう。これに対して、筋膜に達した銛から注入された衝突混合した2液は、横方向に広がり、まさしくアンカーとしての役割を果していることが確認された。なお、模擬鯨肉の構成を以下に示す。

1] 表皮;厚さ1.5mm、硬度40度シリコンゴムシート

2] 脂肪層;厚さ50mm、硬度10度シリコン

3] 筋膜;約厚さ10mm(厚さ1mm、硬度30度シリコンシートと、厚さ0.15mm不織紙(油こし紙)をシリコン系ボンド剤で接着、4層のサンドイッチ構造としたもの)

4] 筋肉層;厚さ20mm、硬度30度スポンジシリコン

(注)サイズ300mm×300mmの上記4層の材料を順番に硬度45シリコン系ボンドで接着した。また、それぞれの肉組織呼称は実際の鯨肉の相当部分とする。

 

 

 

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