2) 吸引力強化方式(タコ方式)
カップ内部の陰圧を増大させて吸着力強化を図った方法。陰圧増大方法の違いによりつぎの2つを採用した。
1] 容積増大タイプ
単純にサクションカップの直径やくぼみの深さを増加させ、陰圧の増大を図り吸着力を向上させる方法。
2] シリンジタイプ
サクションカップの直径やくぼみの深さは変化させず吸引力増大のために注射筒(シリンジ)を改良しサクションカップに取り付け吸引状態を維持させる方法。(図4-2-8)
(2) 吸着時の固定機能の付加
1) 鉤爪方式(イカ方式)
サクションカップ内側および縁辺部分に鉤爪を取り付け、カップのズレを防止する方法。(図4-2-9)
2) 吸着・ピン打ち込み併用方式
サクションカップ内側にカエシ付き針を取り付け、この針が鯨体皮下へのピンの挿入によって脱落を防止する方法。(図4-2-10)
4-2-3. 検討及び試作結果
各設計案の検討及び試作結果は表4-2-1の通りとなった。技術的に製作が不可能であったものを除き、実際に吸着具合および標本への差し込みを試した結果からシリンジタイプと、埋め込みタイプ2タイプの3タイプを装着実験に用いる試作品として採用した。
4-2-4. 試作サクションカップの仕様
(1) シリンジタイプ
サクションカップ本体:
GE東芝シリコーン社製シリコンを石膏で型取りして制作。
吸引装置:
TERUMO社製プラスチックシリンジを本体上部中央に取付。このシリンジは筒(バレル)と押子(プランジャー)の間にスプリングを配置する事で吸引状態が維持される仕組みになっている。(図4-2-11)
(2) 埋め込みタイプ1
サクションカップ本体:
GE東芝シリコーン社製シリコンを石膏で型取り、小型吸盤を取り付けステンレス番線で固定した後、再度シリコンをかぶせ成型。