(3) 維持・管理技術
くじらに装着する曳航体は、鯨体に対する影響をも考慮して、1年以上の稼働要請を満たしながらも、できれば同時に一定期間で脱落するよう設計することができればさらに前進である。
現在の国内外の事情を考慮すると、この点も念頭に置いた技術開発をすることが、本研究に対する社会的なコンセンサスを得るうえで肝要であろう。したがって、曳航体の耐久性はデータを送信する期間に対応させる必要があり、また、装着期間中の補修は不可能であることからメンテナンスフリーを原則とする必要がある。曳航体を一定期間後に脱落させる技術としては、ピン部の材質に腐食可能な金属や分解性プラスチック等を使用することが第一に考えられるが、耐久性の要請との二律背反をどう解決するかは今後の重要な課題である。
ただ、想定している稼動期間内に何らかの理由によって曳航体が鯨体から脱落した場合、その時期と場所が確実に把握できるようにする必要がある。これは、曳航体の水平・鉛直位置情報の急激な変化から推定することはある程度可能だが、本来は、自動的に海面に浮上し脱落を感知・通報するシステムを盛り込むことが望まれる。