平成十年度の主な事業
(社)日本海難防止協会
本協会は、海上の安全確保および海洋環境の保全に寄与することを目的に、海難防止および船舶等による海洋汚染防止に関する事項の「調査研究」および「周知宣伝」の事業を行っている。
これら事業の運営資金は、会費のほかにその大部分が日本財団および日本海事財団からの特段の援助によって交付された事業補助金・事業助成金および管理運営費によって運営されている。
また、補助事業、助成事業のほかに、受託事業がある。
1、海難防止・海洋汚染防止の周知宣伝
1]七月十六日〜三十一日の間、東京において「海難防止のつどい」を開催したほか、各地において巡視船による体験航海等諸行事、巡回広報、訪船指導等「全国海難防止強調運動」を展開した。
2]交通不便な沿岸の僻地で働く人々やその家族を対象に海上安全巡回講習会を開いた。全国一三地区四九個所、出席者一、八八四人。
3]船舶乗組員をはじめ、海事、港湾関係の海洋汚染防止担当者等を対象に海洋汚染防止講習会を開き海洋汚染に関する条約および法令の解説、海洋汚染防止行政の現状ならびに国際的動向等について専門家による講演を実施した。全国六個所、出席者六一三人。
4]アドバイザーが二航路のカーフェリー・高速船・旅客船等に乗船し、海難防止訪船指導を実施した。
5]月刊の広報誌「海と安全」を作成し、海難防止、海洋汚染防止をはじめ海事思想等への周知徹底を図った。
6]周知宣伝用機材として海洋汚染防止の解説書「海洋汚染・海上災害防止の手引き」「絵で見る教本「みんなで守ろう川と海」、パンフレット「きれいな海でマリンレジャーを楽しく」を、また「海難防止のつどい」や東京国際ボートショー内での「海と安全コーナー」で利用する海洋環境保全イメージグッズを作成し、配布した。
7]遊漁船、プレジャーボート関係者を対象とした海難防止用ビデオを制作し、関係者に配布した。
体験航海の巡視船“やしま”の船内で海上保安官からライフゼムの装着方法を教わる子供たち
2、海事の国際的動向に関する調査研究
IMOの委員会に調査員を派遣した。
1]海難防止関係
第六八回MSC(海上安全委員会)、第四三回NAV(航行安全小委員会、第三回COMSAR(通信・捜索救助小委員会)
2]海洋汚染防止関係
第四〇回、四一回MEPC(海洋環境保護委員会)、第二回BLG(ばら積み液体と気体物質に関する小委員会)
3、船舶のバラスト水管理方策に係る調査研究
バラストと水に混入して移動する海洋生物が、生態系の破壊など環境に対して生物的に影響を与えることが、新たな海洋汚染問題として取り上げられている。
平成十年度は九年度に実施したバラスト水交換法の代替え手段の比較検討をもとに、最も実用性が高いと評価される方法を中心に、実船への適用を検討するとともに実用システム・装置設計の基礎となるデータを蓄積し、当該問題に関する合理的な解決策および今後の国際的な対応策に寄与することを目的として実施した。