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(6) 提案方式に対する自動車群シミュレーションによる考察

設備b)においては上下とも問題なく、自動車群の走行が可能であるが、設備a)における下り自動車群は、流れが発散し、渋滞の原因を生成する恐れがある。そこで、このような発散現象がみられ、かつ、上下の交通量が均衡する場合には、そのサイクル長を避けることが必要と考えられる。よって、発散現象を生じない他のサイクル長について検討する必要があり、次項以降にて検討する。また、図-5.8.2に示した対向の自動車1台だけのシミュレーションではこの発散現象がつかめず、表定速度が単に高く、有利との結果となるので、自動車群のシミュレーションが必要である事を立証したこととなる。

 

5.3.7 対向自動車群の系統速度の算出法

すでに文献1)よりサイクル長Cと往復旅行時間Tとの関係により系統遅れが変化することが示されており1)、本システムの算出においてもその関係に留意して検討する。

ここで、順方向(上り方向)の系統制御速度をV(m/s)、リンク長(信号機間隔)をLとした場合、往復旅行日間Tは次式で求められる。

T=2L/V

そこで、信号制御のサイクル長Cと往復旅行日間Tの関係を考慮し、対向の(下り方向の)スルーバンドの速度を算出する計算式を検討したところ、次に示すように明示された。

(1) C=Tの場合

設備a)(L=400)におけるサイクル長72秒の場合が該当し、対向の系統速度は上りの系統速度と同一となる。(図-5.3.10.a参照)

図-5.3.10.a 系統速度計算説明図 C=Tの場合C=72s

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(2) T<C<2Tの場合

設備a)におけるサイクル長120秒の場合が該当し、上りの系統速度V、リンク長L、サイクル長Cの関係を図示すると、図-5.3.10.bに示すようになる。図-5.3.10.bより明白なように対向自動車群の系統速度Vdは、次式で求められる。

Vd=L/(C-L/V)ゥゥゥ(1)

図-5.3.10.b 系統速度計算説明図 T<C<2Tの場合C=120s

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(3) C=2Tの場合

設備a)におけるサイクル長144秒の場合が該当し、その関係を図示すると、図-5.3.10.cに示すようになる。図-5.3.10.cより対向自動車群の系統速度Vdは、(1)式のCに2Tを代入して求められ、その結果、次式が得られる。

Vd=V/3ゥゥゥ(2)

図-5.3.10.c 系統速度計算説明図 C=2Tの場合C=144s

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