5. LRT高速運転用信号システムのシミュレーションによる評価
LRT高速運転用信号システムの実用上の諸問題を実システムで確認することは困難なため、車両の走行シミュレーションにより評価することとした。本章では、本信号システムの評価用に開発したシミュレータを使用しての評価について論ずる。
5.1 車両走行シミュレータの機能と評価項目
5.1.1 車両走行シミュレータの機能、性能
LRTシミュレータは、LRVや一般の路面電車、自動車等一度に6車両の運転状態をシミュレーションでき、それぞれの車両の走行状態を一定周期(一般的には2秒周期)で、位置、速度を計算・記録し、記録データから横軸を時間、縦軸を距離とした「S曲線」、横軸を距離、縦軸を速度とした「走行曲線(通称ランカーブ)」等で表示し、検討するものである。
LRVのシミュレーションを実施する場合、専用軌道なら、ただ単に、列車の走行シミュレーションを行えば良い。しかし、併用軌道では、交通信号の制御下で運転されるから、交通信号の制御管制下に入る。よって、交通信号制御のシミュレーションも必要である。
また、LRV、路面電車、自動車とも運転者による「目視運転」がベースである。そこで、すでに開発済みの移動閉そくシミュレータを改良し、活用した。このLRTシミュレータの機能・性能の概要を表-5.1.1に示す。