(1) 美しく風格ある国づくりへの寄与
都市とともに、現在は過疎であっても文化的に多様で個性的な地域社会が、活力あるものとして維持され発展することこそ、21世紀の我が国を美しく懐の深い風格ある国とするために不可欠なことである。
(2) 21世紀の新たな生活空間として地域自立への挑戦
これからは、過疎地域を「21世紀にふさわしい豊かな自然環境や広い空間の中での多様な居住・生活様式を実現する場」として整備し、交流を通して都市と相互補完関係にある新しい生活空間を確保し、自立的な地域社会を構築することは、真に豊かな国民生活を実現するために不可欠なことである。
(3) 高齢社会の先進地域としての貢献
過疎地域は、人口の高齢化が全国に約20年先行しているところから、高齢者が生きがいを持って快適に日常生活を営むことができる地域社会を様々な形で構築し、全国の先進事例となる取組を示すことでの貢献が期待されている。
4. [新法の基本的考え方と対策の重点分野]
ナショナルミニマム(安全・安心な暮らし)の確保を図るとともに、時代潮流の変化に即し、21世紀の我が国全体の中における新たな役割を、過疎地域が十分に果たせるようにするための対策とする。
1]各種社会資本整備による地域自立のための基礎条件整備
2]美しい自然や地域文化に恵まれ風格あるふるさとづくりの促進
3]都市との交流と若者をはじめとする定住促進による地域の活性化
4]多様な起業等による地域の自立促進
5]高齢者の福祉・生きがい対策の充実
6]生活圏の拡大と地方分権に対応した広域・連携事業の推進
このたびの調査研究のテーマである「広域的連携」に直接対応するのは、対策の重点分野の6]であるが、他の部分でも、広域的連携が前提となっているものが少なくない。
3. 過疎地域の市町村の規模との関係
ところで、地方分権の推進と関連して、その受け皿整備としての市町村合併の問題が論議されている。
人口規模別市町村数を過疎地域市町村とそれ以外の市町村(非過疎)とについてみると、第1表でみられるように、人口1万人未満の市町村1,535のうち過疎地域市町村が1,039(過疎地域市町村の84.5%)で、非過疎地域市町村は496(非過疎地域市町村の24.8%)となっている。