第5章 まとめ
1. 広域的連携の多様性
現地調査及びアンケート調査の対象となった広域的連携をになっている団体の名称をみても、堅いオーソドックスな感じのものから、くだけた、やや奇抜な感じのものまで、千差万別である。
第4章で分析されているように、設立年次の新しいものが多く(1996年以降のものが33.3%)、任意団体が63%と圧倒的に多い。事業分野もマルチプル・アンサーでとっているが、一団体が平均4.5の分野をあげており、「観光・レクリエーションの振興」がずばぬけて高い(80.2%の団体があげている。)が、「地域の情報の共有、提供」、「農林水産業の振興」、「都市地域との連携・交流」、「人材の養成・確保」なども4割ないし5割の団体があげている。
これだけをみても、住民組織等の多様な主体をもまきこんだ、しかも市町村等の区域をこえた「広域的連携」の実態は、千差万別であることがわかる。広域の具体的範囲についても、広域市町村圏の範囲等におさまっているものもあれば、隣県にもまたがる広域のものもある。この研究で明らかにしようとした「広域的連携」は、まだ星雲状態のようである。
したがって、この報告書は、多様な実態をそのままに示して、過疎地域市町村が、それぞれの場合に応じて参考とすることができるようにすることを主眼に編集することとしている。
2. 過疎対策の重点分野と広域的連携
新過疎法制定の基本的方向(平成11年7月29日、自由民主党過疎対策特別委員会決定)では、過疎地域の新たな役割及び過疎対策の重点分野について、次の3,4のように述べる。
3. [時代潮流への対応]―21世紀の過疎地域の新たな役割
交流の拡大、情報通信の発達、価値観の多様化、自然志向、高齢化社会など時代の大きな流れの中で、過疎地域の整備と地域自立への挑戦は、美しく風格ある国土を創出するとともに、都市を機能的に補完することで豊かな国民生活を実現するために重要となってきている。さらに来るべき全国的な高齢社会の先進地域としても貴重な存在である。