青野委員 デザインセンターの若井さんは、恐らくいろいろなノウハウをお持ちになっていて、それを実践しているということなんだろうと思うんですね。その中で、かなり彼が注意してやっているんだなと思ったのは、地元の組織とか、地元の方たちをうまく組織していって、やる気にさせているということです。そのノウハウですね。
柴田委員長 ここら辺のことでは、ちょっと小田切さんには企業秘密がいっぱいある。(笑)小田切さんのところも、「ZAI」という冊子をずっと、もう30号ぐらいになりましたかね、お出しくださっているわけですね。また、小田切さんは関係ないですけど、地域科学研究会というのがありまして、よく次から次へと題材を見つけてセミナーを開いて、またまとめの9,990円なんていう本をいっぱい出して、ときどき感心するんですけれどもね。(笑)小田切さん、企業秘密に触れない程度で、地域づくりのプランナーの話をしていただけませんかね。
小田切委員 今回の現地調査の事例をもとにしてお話をしたいと思います。一時期、今回もアンケート調査をやっているんですが、やはりその中でリーダーがいないとか、専門的な知識がないというふうな回答は、ある程度はあるんですが、一時期と比べると、過疎地域の人材というのは随分と豊富になったというか、能力のある人がいる、あるいは戻ってきているというふうなことなんだろうと思います。今回、私が行った高知県の四万十川のケースなんですけれども、そこのリーダーの方もUターンです。行政の経験は全くありません。民間企業を経由して地元に戻られたということですね。リーダーといっても幾つかタイプがあると思うんですが、みずからぐいぐいと引っ張っていく、まさにリーダータイプという話と、また青野先生からもちょっと話がありましたが、地元の人をその気にさせるというか、推進力をみずからが持つのか、あるいは地元に仕掛けというか、そういう形でつくっていく力があるのか。そんなふうなタイプ分けができるのかなという気がしています。
その四万十川のケースでおもしろいというか、非常に特徴的なことは、地域の人たちは、自分たちが住んでいるエリアというのは、極端な話をすると何もないというかそういうふうに感じているわけですね。そこのリーダーの方は何を考えたかというと、外部の力を使って地域の人たちの意識啓発というか、やる気を起こさせようということをお考えになったんですね。例えば「水」という本を出しているんですけれども、そこに四万十川あるいは水に対する思いを綴ってくださいということで、40人近くの方にラブレター、全くつてもないところにラブレターを出して、それで賛同してくださった方から原稿をいただいて本をつくった。お礼は、3年間、四万十川で捕れた鮎を送りますと。外部の力を使って、自分たちの地域が持っている資源とか、あるいはポテンシャルというのを気づかせる、そんなことをやっているんだろうと思います。自らが引っ張っていくタイプ、それから地域の中にそういう推進力というか、エンジンをどう仕込んでいくかというタイプ。それも、地域の中だけで考えるのではなくて、外部から見た目ということを入れながら、そういうエンジンをつくっていくというふうなやり方というのは、そういう意味では非常におもしろい、特徴的なやり方ではないかなという気がいたしました。