例えば中心都市と過疎地域との連携なり合併なりというと、やはり先ほど緊張関係という話もありましたけれども、合併をしてしまうと熱が冷めてしまうというか、どちらかというと、過疎地域がそういうところにのみ込まれてしまうというふうな部分というのが出てくるんだろうと思います。
そういう中で輝きを失わないためには、やはり連携なり合併なりという中でどれだけ個性を発揮できるのか。ですので、広域連携でまとまるということで丸くなるということではなくて、逆に、先ほど多面体という話がありましたけれども、それぞれの地域なり、あるいは集落なりというふうなレベルなんかにしますと、そこがやはり個性を発揮をして輝けるような、どれだけ多くの多面体をつくれるのかということが、やはりポイントになるんだろうと思います。
それで、先ほど村井先生のほうから、広域と個性とがちょっと対立する概念のような感じがするというお話がありましたけれども、私もこの現地調査において、あるところではこの広域で組んだおかげで、それぞれ単体でやっているときよりも雇用が何人増えましたというふうな話があるわけです。例えばその広域で連携を組むことで、確かに雇用の場の確保であるとか、あるいはある程度の一定規模の経済規模を持つことで、販路の拡大が容易になったとか、そんなふうないい意味での規模の論理が働くというところがあるわけです。逆に、無理をしてでも、赤字になってでも雇用の確保をするのかとかいうふうな対立軸があったり。また、どうしても効率化というと、個性をなくす方向というか、1か所集中型であったりしますから、そこから例えば人を地域の中に派遣をするのか、1か所集中でやってしまえば効率が上がるわけですが、逆に地域に密着をしていたほうが、その地域の実情が非常によくわかって、そちらのほうが逆にこれからの地域重視のところではいいのではないかという話があります。このような幾つかの対立軸がある中で、事業を進める上でどちらに進んだらいいのかということを、非常に迷っている状態なんです。
広域というのが、それほど古い概念ではないんだろうと思うんですけれども、今、そういう意味では、前回の調査と比べてまた一段と状況が変わってきている中で、地域としてどちらの方向に進んでいくのかということを、迷っているような状況なのかなというふうな気がしております。
◆地域個性形成との両立
太田委員 今の、ちょっと関連でいいですか。先ほどご報告しました、私が行きました新潟県の十日町地域の広域圏の連携作業の中で、先ほど申しましたように非常にスケールの大きい、世界に情報を発信するというような、すごい高い理念を掲げてやっているところなんですけど、先ほど言った個性の問題、地域の各個性の確保のために、6市町村あるわけですが、その6市町村にそれぞれ活動の拠点の、住民参加でやる拠点の場をつくって、それをステージづくりと言っているんです。