それから広域化における個性の問題ですけれど、今、青野先生も、個性を尊重しながら全体を立ち上げていくというふうなことをおっしゃっておられましたが、昨年の県境サミットもエメラルドという言い方は、山で緑があってということだけでなくて、磨けば多面体になる。つまりそれぞれの構成員が、個性を保持しながら全体をつくり上げていくということを表へ出すためにそういう名前をつけたということで、なかなかうまい表現だと思いましたが。
ただどうなんでしょうか。この広域化という問題は、個性化というのをどこのレベルでの個性化と言うのか。つまり広域化することによって、その8町村なら8町村全体で何か個性的な方向を打ち出していくという意味での個性化なのか。それとも構成団体の町村の個性をそのまま保っていくという意味なのか。何か広域化というと、個性を失って平準化していく方向ではないかという感じがしないではない。
したがって、それぞれの町村の個性、独自性を保っていくというのは、逆に言うと一種の緩衝材でショック・アブソーバーみたいなもので、そういうものが一挙になくなるわけではないんですよという言い方で、広域化を進めていくという。ある意味じゃ広域化と個性の保持というのは、対立するような要素があるのではないかというふうなことをちょっと感じているんですが、そのあたり、いかがなもんでしょうね。
柴田委員長 確かにアイデンティティーを強くするというのと一緒に考えようとかいうのは、少し矛盾した感じが。
青野委員 合併までは行きませんよというのが、個性をそれぞれ保つというのと裏腹の担保みたいな感じがするんですけれども。
柴田委員長 小田切さん、高知県に行っていただいたんですが、ここもいろいろおもしろいお話があったように伺うんですけど、ひとつお願いいたします。
小田切委員 先ほどから広域連携と合併の関係のお話が出されているわけですが、私も今回、高知県の2ケースの現地調査をさせていただいたわけなんですが、連携を組むことが必ずしも合併を前提とした連携の組み方ということにはならないんだろうというふうに思っています。
ただ、今回、私が行ったケースもそうなんですが、前回、平成4年にやった調査が、先ほど委員長のほうからもお話がありましたように、どちらかというと行政寄りのケースを調査をしたんですが、今回は行政からちょっと一歩離れた、私が行ったところは財団であったり、あるいは純粋な株式会社というところを取材に行ったわけなんです。ですので、行政寄りのところでは、結婚を前提としたお付き合いみたいな話があるのかもしれませんが、とりあえず今回行ったケースの中では、必ずしも連携を組むというのが合併にすぐはつながらないというケースがあるというふうに思います。
過疎地域での連携とか、あるいは合併とかというような話で、やはりどこと組むのかというケースがあるんだろうと思います。先ほど近岡専務のほうから、21世紀むらづくり塾の調査の結果をご報告いただいておりますが、その中で緻密な連携は隣接したところからというふうな話があったと思うんですが、そういう過疎市町村同士での連携みたいなところを意識をするのか、あるいはその中の中心都市といいますか、その地域の中心都市と過疎地域との連携ということを考えるということでも、多少、ケースが違うのかなという気がしています。