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この二つの地域の広域連携を見に行ったわけですけど、いずれも個々の町村の特徴を生かしながら、全体としてレベルアップしょうという発想が強く感じられました。今では個々の町村を比べますと、地域づくりがかなり進んでいるところ、あるいはおくれているところがあります。しかし、九州ハイランド地域というのは、今までそんな地域のまとめ方は県でもやっていないし、まして国でもやってなかったわけです。県は阿蘇と天草、それから熊本市周辺を特に観光を中心とした地域振興施策をやってきたわけですけど、今度は、南の方のかなり広い、県の4分の1ぐらいに当たる地域をとりまして、一部宮崎県も入ってますけど、7郡14町をひとつの地域としてまとめて、観光地、リゾート地としてレベルアップを図ろうという施策をとっています。それにのっかって各市町村の連合である九州ハイランド活性化協議会ができて事業をやっているわけです。

その考え方というのは、個々の町村の個性を尊重しながら全体をレベルアップということですから、町村合併という発想がないと思うんです。むしろ、合併してしまったらそれでおしまいで、やはり個々の町村の個性をどう形づくっていきながら、全体としてレベルを上げるかという、そういう活動になっていますので、それがすぐに町村合併にはつながらないし、むしろ町村合併を表に出したなら、そういう広域連携にマイナスに作用しかねないという感じを受けます。

それからもう一つの阿蘇のほうは、もともと阿蘇郡の12町村が対象地域なんですけど、広域行政事務組合がありまして、し尿処理や火葬場から、あるいは老人ホーム、住民の日々の生活にかかわる、あるいは福祉にかかわることをやっているわけです。ところがそれとは別に、同じ12町村が出資して阿蘇地域振興デザインセンターというのをつくっています。ですから、片方では広域行政事務組合がありながら、そこに地域づくりとか観光開発を委ねるのではなくて、別の組織をつくってそれをやっているという形です。このデザインセンターは、地域づくりの取り組みでは各市町村では温度差がある中で、出てきた芽を育てるという形で取り組んでます。いわば、これもまたそれぞれの地域の個性を尊重する、つくり上げるという形で、阿蘇地域全体として考えようという考え方です。やはりそこでも町村合併ということとは切り離した形で事業が行われています。ですから、委員長のおっしゃった合併との関係は、ここでも合併というのを前面に出しますと、恐らく事業が違う方向へ進むんじゃないかなという危惧を感じます。僕が行ったところはたまたまそうかもしれませんけど、ひとまず個々の個性、地域の市町村レベルの個性を高めて全体を上げるという方向をとっていますから、ちょっと町村合併とは縁がないなという感じです。

村井委員 合併につきましては、雲南広域連合のほうでも、合併ということは言わないようにしながらやっていくことだと。(笑)やっぱり合併というものを表へ出すと、ある種の拒絶反応みたいなものが出てくる要素があるようですね。昨年の県境サミットのほうでも、それは新聞に出た批判でしたが、これは合併を考えているのではないかと、反対をしている意見が出ておりました。その点では、合併というものが広域連合のすぐ先に、玄関をあければすぐ先に合併があるというものではなさそうですね。

 

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