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私は、ちょっと不勉強をさらけ出すようで申しわけないんですが、広域連携というのは、仲良し同士が、お隣同士が適当に、割合に簡単な問題をやるというのが主な仕事じゃないかと思っていたんですけれども、実際に新潟へ行って見てきたことは、これはそんな問題じゃなくて、まさにさっき柴田さんがおっしゃった地域の個性形成のための総合プロジェクトというんですかね。まさに地域おこしのすごい挑戦をやっているという印象を受けました。連携でそういうことができるのかということにちょっと驚いたんですけど、そういう難しいことへの挑戦という意味での緊張感というのが、非常に強く感じました。

もう一つ緊張感というのは、住民参加ですね。これは広域連携にかかわらず、今、地方自治の現場では、住民参加というのが大きな流れになっているわけですけれども、広域連携の場合は、さらに住民参加、特に行政と住民との関係というのは絡み方がいろいろたくさん出てきますので難しくなってくると思うんです。新潟のある地域では、当初、住民と行政との関係にずれが生じて、あわや絶縁関係になるんじゃないかというところまで行って、それがいろいろ両者で苦労して、かえって雨降って地固まるで、行政と住民の協働関係が非常にうまくいっているということなんです。ともかく住民参加をいかにうまくやるかということに非常に苦労している。そういう行政と住民との緊張関係が非常にあって、これは全国的に同じような傾向があるんじゃないかなと、これは想像ですけれども、そういう感じを持ったわけです。

それで合併との問題ですけれども、私は一口に言うと、合併と連携問題というのはあまり結びつけないほうがいいんじゃないかと。というのは、連携は今言ったように緊張感を持続できると思うんですよね。それで、各圏域内の地域の持っている個性的なエネルギーを緊張感を持って集約できるというんですか、そういう力が、かえって合併よりも持っているんじゃないかと。合併というのは、合併するまではいろいろ苦労してすったもんだするけれども、合併しちゃうと案外緊張感がなくなって、エネルギーがなくなってしまうという面があると思うんですね。

男と女の関係で言えば、合併が結婚した男女だとすると、連携はまだ恋人時代で、お互いに刺激を持っていい関係をつくろうと努力するというようなところが、エネルギーが、燃焼の仕方が恋人と夫婦とでは、これは全く異質のものに近い関係になると思うんです。それと同じで、連携のほうが特に何か大きいプロジェクトをやろうじゃないかというときとか、その地域が発展途上的で何か飛躍を求めるというようなときには、かえって連携のほうが、これは逆説かもしれませんけれども、連携のほうがエネルギーが噴出できていい面もあるんじゃないかなと、そんな感想を持って帰ってきました。

柴田委員長 ありがとうございました。またご意見を伺うことにして。青野先生、何かお話を伺えたらと思います。

青野委員 今の太田先生のご意見にほぼ賛成なんですけど、僕が行ったところは、世界的に有名な観光地の阿蘇地域が一つと、もう一つはその南の九州の脊梁山地を形成している「九州ハイランド」地域です。今までほとんど関係がなかった町村を、県が一つにまとめようとしている地域です。

 

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