(7) 財源
すでに、詳しく見たように、当センターを特色づける事業は、その資金の大部分を受託事業費に依存しているが、その額は8年度以降縮小気味である。当センターの行なおうとする事業のテーマやコンセプトに引き寄せられる受託事業が常に豊富にあるわけではないので、自主的な財源を確保することは、センターの将来にとって極めて重要である。30億円の基本金が14年度まで計画通り形成されることがセンターの財政基礎強化につながることは言うまでもない。しかし、低金利状況では、基本金の果実に多くを依存することができないので、別の財源を求める努力が必要となる。事業による収入の増加策や採算ベースで可能な事業の実施、あるいは、個人やグループ、民間の組織・団体や企業からの財政上の支援システムの形成が、今後の事業展開によっては考えられても良いのではないだろうか。
以上に見たような成果や課題を列挙したが、古くからのわが国有数の観光地である阿蘇地域においてさえも、従来の地域振興・観光振興は個々の町村あるいは町村別・地区別の業界団体によって、いわばばらばらに取り組まれてきたのが実情のようである。そのような状況の中で、阿蘇地域振興デザインセンターの広域連携による地域全体の振興のための事業が取り組まれるようになったのは、一つの転期をなすものではないかと思われる。
新しい試みが、新しいリーダーを得て、新しい発想から、新しい人材、新しい交流、新しい組織を生み出し、広域的な地域振興・観光振興が取り組まれ始めている。極めて興味ひかれる試みである。