第9節 九州ハイランド活性化協議会(熊本県)
熊本県東部地域は、隣接する熊本県西部地域と共に、九州中央部の脊梁山地を占める。豊かな自然、独自の歴史や文化を持ちながらも、この地域は、主要な交通軸から離れていることから、都市や産業の目立った発展や集積を見ることはなかった。そして、第1次産業の停滞が続く中で、人口の流出や高齢化が著しく進み、過疎化に伴う問題に直面する地域となった。過疎地域の活性化を豊かな自然や歴史・文化に求める動きが台頭する中で、県内では、これまでの、熊本市地域・天草地域・阿蘇地域に加えて、この山間地域の観光・リゾート地域としての開発を求める気運が生じた。それが県の施策として「九州ハイランド構想」となってまとめられ、その推進母体として関係町村によって「九州ハイランド活性化協議会」が設立されて、「広域連携」による地域振興への取り組みが開始されたのである。
1. 組織と地域の概要
まず、九州ハイランド活性化協議会の概要を表1に示す。この協議会は、県の「九州ハイランド構想」事業を実施する主体として、平成10年5月に「九州ハイランド]地域の15の自治体を構成団体として設立されたものである。従って、組織形態は任意団体とはいえ、事実上は自治体(町村)の連合体である。その会員は各自治体の首長(町長・村長)であり(末尾に掲載の「九州ハイランド活性化協議会規約」第4条参照)、事業の協議・実施のために各町村の担当課長からなる「担当課長会議」(「規約」第7条)が設けられている。また、実際の活動(事業の立案・実施)は、規約に定めはないが、各町村の担当課の担当係長による「ワーキング・グループ会議」がかなりの頻度で開かれ、その任に当たっている。