4. 今後の動き
(1) 今後の目標
今後介護保険が導入されると、ホームヘルプ事業をはじめとして、市場環境の激変が予想されている。介護保険制度の全体枠組みが、まだ曖昧な状況下では、詳細な事業計画を立てるに至っていないが、この制度の導入により、事業内容にも大きな影響がでてくることは必至である。この地区でも、他市町村の事業者から新たな競合の参入や、競合同士のサービス内容の強化競争も起きてこよう。
西仁淀介護公社においても、介護保険導入をにらんで、新たなサービスメニューの開発を考えている状況であるが、その中で検討された、給食サービスや24時間サービスの展開はこれからの課題という状況である。介護保険の導入を前提とした新たなサービスメニューの開発が事業目標のひとつである。
また、市町村職員程度の給与体系の実現も、事業目標として大きな課題である。現在のところ、ヘルパーの平均給与(額面ベース)が17万円程度であり、実現まではまだしばらく時間が必要であるが、安定した事業体として一定の給与水準の実現を目指すことは、大きな目標と言えよう。
(2) 今後広域的取り組みを行いたい事業分野とその理由
広域的な取り組みとしては、現在の主活動エリアである3町村の枠を越えて、高吾北広域市町村圏の枠まで拡大していくことが考えられる。実際には、その可能性としてはあるが、同じ圏域内の越智町や佐川町では、JAや民間事業者がホームヘルプ事業に参入していることもあり、現在のところ難しい状況と判断されているようである。
むしろ県境を越えて隣接する愛媛県下の自治体に範囲を広げる方が競合を考えると現実性があり、県境を越えて複数の自治体を活動エリアとする介護公社として展開していきたいと考えている。
5. 広域的連携による過疎対策の推進方策とそのあり方
西仁淀介護公社の事例から、広域連携による過疎対策の推進方策のヒントととして、次のようなキーワードを抽出してみた。
(1) 組織強化と地域密着性の矛盾解決
自治体であれ民間組織であれ、広域的連携を図ることで、競争力を高め組織強化を図る流れは、止まることはないであろう。