本来筋から言えば外れた利用形態かも知れないが、利用者の利便性を確保しながら効率化を図る難しさが伺える。
また、施設統合を行えば利用者の移動距離も全体としては長くなり、道路ネットワークが十分整備されていない状況では、利用者の送迎に大変な時間と労力をかける必要が生じてこよう。
送迎バスの運行は、デイサービス事業にとってはいわば付帯的事項であり、そこに時間や労力の投資をすることは難しいのが現状である。
また、平成12年度スタートの介護保険をにらんだ対応も課題といえる。
現地調査を行った時点では、介護保険の枠組み自体がまだ流動的な部分もあり、その都度流される情報に応じた対応を余儀なくされており、次年度の十分な方針を決めるに至っていない状況だった。要介護者の認定は3町村で行うことになったが、介護保険料の3町村統一はできなかったという。
利用者がサービス提供者を選ぶ時代に入り、西仁淀地区にも地域外からサービス提供者が参入することが予想される。事務局では、病院や任意団体の参入はあり得ると想定しており、同じ広域圏内の越智町には、デイケア事業に既に3事業体が参入、さらにもう一力所の参入も予定されているという。
これらの事業体が、西仁淀地区をサービス提供エリアとすれば競合することになり、経営的には厳しくなることが予想される。
事業の意義や目的などは、既に述べたとおりであるが、広域で対応することで効率をあげることができる一方で、細かなところまでは手が回りにくくなる、といった問題点も生じてこよう。
効率性を追求すれば、事業所などは3町村毎に置かずに統合した方が良いし、ヘルパーもシフトに合わせて3町村であればどこでも回るようにした方が少ない人数で対応することができよう。しかし、これまでのように地域内で独占に近い状態から、競合事業者が参入してくるようになると、地域への密着性を高める必要があり、事業所統合もなかなか進めにくい状況のようである。また、雇用の確保という観点からは、闇雲に職員数を減らして良いと言うこともなく、広域化による事業効率性の追求と、地域密着、雇用確保の狭間で対応に苦慮している様子がうかがえる。