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個別性やユニーク性を前面に出した事業や組織体は事業収入の源泉を過疎地域外に求めることも可能であるが、このケースのように基本的に過疎地域にエリアを限定し事業展開をしているようなケースでは、域内の連携で組織力を強化し効率的な組織運営をしていかなければ、今後生き残ることが難しくなってくる。

しかし、その一方でなるべく多くの雇用の確保や、一定水準以上の給与保証、利用者にとっての地域密着性の確保といった、ある意味では非効率性を伴う視点も求められている。この地域密着性は、介護保険の導入により他地域から新規参入者にとっては、強力な対抗ポテンシャルともなるので、一概に切り捨てればよいというものではないだろう。両者のバランスを取りながら、事業運営の舵取りをしていく必要に迫られているのが実状であり、広域化時代に対応したマネジメント能力が必要になってくるだろう。

 

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(2) 情報化の推進による事務省力化

 

西仁淀介護公社では、(1)に挙げた視点での効率化は今後の課題ということになるが、違う視点からの効率化が進められている。それが先にもふれた携帯端末を使ったホームヘルプ事業でのヘルパー管理である。このような高度情報化の進展は、過疎非過疎を問わず、ここ数年のうちに日本全国を飲み込んでいくことは間違いない。私たちの生活の中で、コンピューターや様々な情報に接し、活用する機会はますます増えることはあっても減ることはない。

西仁淀介護公社のケースでは、ヘルパー一人一人へ携帯端末を導入した点が注目されるが、この事例での情報化の本質は、デジタル情報の共有化とデスク上での事務作業の軽減にあるといえよう。デジタル化した情報を携行し、介護現場で利活用する、現場で取った記録が、事務所に帰ればそのまま日報に流用できる、必要に応じて他のヘルパーも閲覧することができる、といったデジタルデータならではの扱い易さ、加工のし易さが、情報化がもたらす効率性の本質だろう。

 

 

 

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