サービス提供を広域的に行うことで、事業体としての規模のメリットを追求することが可能となり、各自治体毎に単体で実施するよりも安定した事業体となる可能性が高い。安定した大きな事業体となることで、各社協が個別に事業展開していた時代と比べると、公社になってからの方が、デイサービスの職員を含めて、4名の雇用増になっているという。
また、公社は事業目標として、公務員並の給与水準の達成を掲げており、この目標はほぼ達成できるところまでになっているという。
規模のメリットとしては、トータルとしての事務員も、本部機能が統合されるので軽減することができよう。
しかし、実際にはヘルパーオペレーションなどは各事業所単位で行われており、広域化による本格的な効率追求はこれからの課題になっている。
(2) 広域的連携の課題
平成6年度から広域で事業展開を始めて約5年経過しているが、広域で対応するメリットの享受まではまだ至っていないといえよう。しかし、この間何もしてこなかった訳ではなく、雇用の確保・増大への貢献、給与水準のアップ、携帯端末導入による事務作業の省力化など、むしろ積極的に取り組んできている。広域によるメリット追求は、これからが本番であり今後の展開が期待される。
しかし、逆に言えば、この点は一番手を付けにくかったところと言うこともできるだろう。効率化を追求していけば、これまで是として進めてきた部分を、乗り越えていかなければならないところもあるからだ。
身近なところでは、現地事業所やヘルパーオペレーションの統合、デイサービス施設の統合、といった点が挙げられよう。ヘルパーも町村の枠を越えて移動するケースが生じてこよう。
地域密着型の組織として機能してきた部分と、効率的な運営を目指して省力化を図る部分の中で、現在のところ、デイサービス事業やホームヘルプ事業も、各町村の枠を越えられていないが、今の時点でこれを1カ所に集中させるには難しい問題があるという。3町村の施設を統合すれば運営側にとってはメリットはあるが、利用者にとっては、自宅から施設までの移動時間が長くなるケースが多発する、デイサービスを利用しながら他の用事を合わせて済ませることができなくなる、といった不便も生じる可能性がある。
現在のデイサービスの利用は、いわゆる元気老人の利用も相当数あるため、デイサービスを利用しながら、途中で役場へ用足しに行くようなケースもあるという。介護保険が導入されると、元気老人のデイサービス利用は減ることになろうが、吾川村の施設の場合、診療所とデイサービス施設が併設されているため、デイサービスを利用する日に診察も合わせて受ける人が多いという。