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あまりにも日常的で、地元の人たちがなかなか気づきにくい四万十川そのものや、その流域の生活空間や魅力を、四万十川が好きだという外部の力を使い、その魅力を地域の人たちに再発見させることに成功している。会員制度事業や「自然の学校」事業、商品開発事業も、これらの事業を通じて、外部の四万十川や地域に対するプラスの評価を地域の人たちにフィードバックできている効果は非常に大きい。「水」という書籍の出版についても、同様の効果があったことだろう。そのことを通じて、住んでいる人たちが、地域の良さを再発見する、地域の良さに気づく、地域に誇りを持てるようになるといった効果には非常に大きなものがある。

つまり、四万十ドラマが手がけている事業は、いずれも都市住民など地域外の人たちをメインターゲットにしているように見えるが、実際にはこのような外部の力を使って自分たちの地域の見直しや再評価、資源の有効活用を行っている好事例と言うことができるだろう。

また、広域的連携とは直接は関係が薄いが、事務局にUターンの民間人を登用し、そのアイディアや機動力を尊重した運営を行っていること、事業開始前にキチンとした地域資源の分析調査を行い、企画立案を行っていること、事業の立ち上げ期に一定の補助金や委託事業を受けることで事業を軌道に乗せることに成功したことなどは、四万十ドラマが成功した要因としてあげることができよう。

 

(2) 広域的連携の課題

 

広域的な連携を組む場合の課題としては、組織構成に対する点と、事業運営そのものに対する点があげられた。

組織構成に対する課題は次の通りである。

 

(i) 構成町村間のバランス感覚の必要性

 

広域で取り組むことで、地域内の様々な資源を活用しながら事業を展開できる強みがある反面、構成町村間のバランスを取りながら事業企画や運営を行っていくことが求められるケースがある。場合によっては思い切った対応が取りにくいケースも見られるなど、バランス感覚をもって取り組む必要がある。

 

(ii) トップの体制づくり

 

3町村が設立した第3セクターであるため、代表者は各町村の首長が持ち回りで就任することになっている。代表の任期は2年間で2年ごとにトップが交代するようになっている。このような持ち回り人事でなく、安定したトップがおけるような組織体制にしていくことが課題となっている。

 

 

 

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