出版事業は、「水」という書籍を平成9年度に出版している。これは、各界の著名人に水に関する思いなどを執筆してもらい編集したもので、全くつてのないところに執筆依頼の手紙出しから始めたこと、原稿料を四万十川の天然鮎3年間分としたことなどが、ユニークな取り組みとなっている。
B. 事業の経緯と目的
十和村、西土佐村、大正町の3町村では、平成4年から広域で地域興しを行うための組織として「北播振興協議会」を立ち上げていた。四万十川中流域の町村ということで、広域市町村圏は異なるものの、昔から3町村の結びつきは強かった。
高知県では、各町村が比較的自由に使える県の単独事業として「ふるさと定住モデル事業」を実施しており、この3町村でもオートキャンプ場やこいのぼり公園の整備、若者定住促進住宅の建設などに取り組んできた。
北播振興協議会の話し合いの中で、この県単事業を導入し、広域で何か地域興しのための組織を作ろうというムードができあがり、四万十ドラマもその話し合いの中から誕生してきている。四万十ドラマという名称も、その協議会の発案である。この県単事業は、四万十ドラマの立ち上げ期の、平成6〜8年にかけて導入されている。
この期間、四万十ドラマでは地域資源調査を実施し、どのような事業を行っていくのかを決める企画書を作成している。その中であがってきた主要事業として、ネットワークづくりと商品開発があり、これをメイン事業として考えることになった。このネットワークづくりが現在の会員制度事業や「自然の学校」事業として、また商品開発が商品開発事業やアロエ事業として引き継がれている。ネットワークづくりをメイン事業にした思いには、「四万十川やその流域に息づくゆたかさを、会員組織の中で共有化していきたい」という気持ちがあったためという。ネットワークづくりは、平成8年度からスタートしている。
平成8年に県の事業が終了した後、平成9、10年度は、3町村の単独事業の「四万十ドラマ支援事業」により、年間660万円の予算で四万十ドラマの支援を行ってきたが、平成11年からは、行政からの支援は全く行われていない。現在は、町村出資の第3セクターではあるが、経営的には独立した事業体として、経営をなりたたせていかなければならない状況になっている。
C. 事業内容
(i) 会員制度事業
会員制度事業は、四万十川を愛する会員相互の交流をコーディネートするのがメイン事業であり、全国的な会員ネットワークづくりに取り組んでいる。年会費は3,000円で、会員には「RIVER」という機関誌を年2回発行している他、地元産品の通販を「四万十の良心市場」と名付け、年2回行っている。