2. 灰塚ダム事業の経過
じつはこの時期には、前後20年に及んだ灰塚ダム建設に対する反対運動は終息しており、過疎対策はダム事業の一環として展開されることになる。そこで時期は遡るが、灰塚ダム建設に至る経緯を述べておこう。
中国の中央部に源流して日本海に注ぐ江(ごう)の川はしばしば氾濫する川として知られ、その治水対策をはじめ流域の整備が求められていた。そこで計画されたのが、江の川の上流、上下川や田総川などをせきとめるダムを灰塚(三良坂町)に建設し、治水のほか流域への安定的な水の供給確保を目指すこととした。そのために建設省が立ち入り調査を申し入れたのが1966年(昭和41年)9月のことである。しかし直ちに反対の動きがおこっている。