しかしこの地域おこしの上で大きなきっかけになったのは、1990年(平成2年)から翌年にかけて行われた「ふるさと創生事業」であり、その取り組みのなかで実現されたレストアステーション(Restor Station)である。町内にせめて喫茶店をという住民の願いに応えてつくられたものといい、田総川の畔に現代アート風なドームやキューブの建物が建てられ、レストランの他ホールや会議室、ふるさと産品の直売店などの施設は、住民やここを通る人たちの憩いの場となった。河川敷の整備と相俟って、過疎の地に新しい光景が現出した。完成して2年後(1993年)には広島県最初の「道の駅」に指定された。「手づくりふるさと賞」(建設省)も受賞している。そしてここでの試みが、やがて取り組むようになる、現代アートを導入してダム流域の環境整備をはかるという、アースワークプロジェクトの構想へとつらなったのだ、とは、案内して頂いた総領町町づくり推進課課長補佐・矢吹正直氏の言である。