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第6節 灰塚アースワークプロジェクト(広島県)

 

広島県双三郡三良坂町・吉舎町、甲奴郡総領町

上記三町は広島県の東北よりに位置し、中山間地帯に所在する典型的な過疎地域であるが、三町にまたがる灰塚ダムの建設に当り、その事業に積極的に関わることで生活再建はもとより、ダム流域の環境整備に現代アートを導入するというアースワーク計画に取組んでいる。

 

1. 地域の概要

 

2郡にまたがる3町は、三良坂町が43.69km2、吉舎町が84.07km2、総領町が70.34km2であるが、その大半が森林であり、別表の如く人口は昭和30年代の後半から急激に減少しはじめている。このうち三良坂町の場合、減少率が低いのは、周辺では唯一非過疎地域である三次市(みよし)や庄原市に接していることが大きい。それでも昭和35年と平成7年とを比較すれば、三良坂町28.5%、吉舎町42.1%、総領町に至っては58.0%、すなわち半分以下となっている。そこで過疎対策が取られたが、とくに過疎化の激しかった総領町では、“救世主になってほしい”と企業誘致にのり出している。しかしこの方策は所期の成果をあげることができず、目につくのは廃校・廃屋ばかり。それならばと発想を転換させ、過疎を逆手に取る町おこしが試みられるようになる。廃校を利用して都会の人たちをサマーキャンプに呼び寄せるというもので、廃校利用の「ふるさとセンター総領」「ふるさとセンター田総」は宿泊・研修施設として利用され、一応の成果をあげている。「過疎を逆手に取る会」がマスコミに取上げられたことで全国的に知られるようになり、会員も500人にのぼった。これには永六輔氏などの協力があった。逆手塾によるシンポジウムが行われ、三次に事務局も置かれた。「過疎を逆手に取る会」が結成されたのは1982年(昭和57年)のことであるが、「-」(マイナス)イメージで受取られていた時代、田舎のよさがうたわれたのは特筆すべきことだったといってよい。

 

表1 3町の人口動態 1]

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