平成10年7月、10町村の町村長会議において介護保険事業の共同実施が提案され、以後この問題が最大の関心事となった。こうして「ゆうきの里 雲南」事業はこの時点で介護保険に大きくシフトされ、「雲南広域連合」の設置も、それを第一義として進められることになる。11月2日雲南広域連合関係準備室が設置され、各町村から派遣された職員10人が配置された。翌平成11年に入ると、広域連合の町村負担割合、職員定数、庁舎の場所などが定められ、事業所は6月1日、木次町の県合同庁舎から三刀屋町へ移された。広域連合設立の手続きも進められ、7月27日県知事より設立許可書の交付を受け、8月1日雲南広域連合は発足した。
こうして「雲南地域振興協議会」(平成6年)→「雲南広域振興協議会」(平成9年)をへて、ここに「雲南広域連合」(平成11年)となり、地域連携のあり方としては、町村合併を除けばもっとも強固な結合体が生まれたわけである。広域連合とは一部事務合と同様、特別地方公共団体であるが、国などからの権限移譲、事務の委託の受け皿となること、事業執行上必要なことを構成市町村に勧告できること、長・議員は選挙で選出すること、広域計画を策定すること、などの点で、協議会はもとより一部事務組合に比してもそれの持つ権限はきわめて大きい。構成町村の温度差はこうした広域連合の権限に対してだけでなく、広域連合による広域行政が推進される時、そのあとに想定される町村合併をおそれるということがあったと聞く。10月1日、介護保険認定審査業務の受付が開始されている。
雲南広域連合には非過疎地もふくまれているが、合同して地域おこしを目指すなかで「ゆうきの里 雲南」事業計画が策定された。しかし目下は、広域連合の取組みとしては介護保険問題が最優先され、「ゆうきの里 雲南」基本構想事業は二の次となっている。「介護」が軌道に乗れば、いずれ「ゆうきの里」へ移ることになっているとのことである。
以上のような理由で、今回の報告書は、広域的な地域おこしの事業として興味深い「ゆうきの里 雲南」を取り上たものの、まだ構想の段階にとどまっており、その内容の紹介に終らざるを得なかったことをおわびしなければならない。したがってこの運動の実態や評価もできない。はやく介護問題をクリヤーし(そのことも大事であるが)、本来の事業を再開されることを望んでいる。