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各事業ごとの成果としては、

・大地の芸術祭〜全国紙で取り上げられ、イベントのPR、地域の情報発信が図られつつある。

・ステージ整備事業〜世界レベルのアーティストがかかわった建築物、公園等が整備されつつあり、それらの作品を見ようという来訪者が増えている。

・越後妻有8万人のステキ発見事業〜全国から3,000点を超える応募があり、地域のPRと再発見につながった。

・交流の道(花の道)〜圏域全体に花を植えることで圏域住民の花に対する意識の向上が図られ、圏域を訪れる人にやすらぎを与えている。

 

5 課題

 

課題の一つは資金面。アートネックレス事業の年間事業費は75,400千円(平成10年度)。

財源は、ハード事業が各市町村の負担金(過疎債充当)、ソフト事業は県補助金60%、残り40%を6市町村の広域負担割りによっている。大地の芸術祭事業への参加作家が増加するなど事業費が増大している。全体計画(平成10〜18年度)に対して県補助金が不足しており、協賛金を予定しているが、集まり具合いが良くないなど、資金面に課題を抱えている。

長期的な問題としては、20年〜50年の継続、発展を視野に置いた展開への期待が持たれている。

 

6 コメント

 

(1) まず、「妻有アートネックレス」というネーミングがいい。“アートネックレス”がしゃれている。「妻有」(“つまり”と読む)という地域名もロマンチックで魅力的である。

「妻有」の由来が面白い。この地域は、新潟県の南部の一番奥の方に位置する中山間地域。いわば“どんづまり”である。その“つまり”に“妻有”の漢字を当てて生まれたのが、この地名だとか。「妻有」は、日本有数の豪雪地帯の過疎地というハンディをプラス志向で考えた傑作だ。

(2) その妻有で、今、すばらしいプラス志向で地域ぐるみのプロジェクトが展開されている。アートを核にした地域総合プロジェクトで、国内はもちろん世界へ向けて発信するというスケールの大きさと迫力。「人間は自然に内包される」という事実を確認し、豊かな自然に恵まれた地域固有の文化を継承し、芸術文化の香があふれる地域づくりを総合的に行う、という理念もしっかりしている。

 

 

 

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