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第1章 課題と目的

 

1. 広域市町村圏施策の歩み

 

過疎地域の活性化生活環境の向上のためには、関係市町村等の広域的対応が必要なことは、従来から言われてきたところである。

二全総が策定された1969年、広域市町村圏が設定され、生活関連道路網等の広域ネットワークの形成ごみ・し尿・消防等の市町村行政の広域処理システムの整備等、市町村の行政課題の広域的な共同処理の充実と体系化が図られた。

その後、三全総(77年策定)の定住構想をうけ、モデル定住圏が各県にひとつずつおかれるとともに地域の総合的居住環境の整備を目標として、文化・教育・スポーツ等の分野についての広域サービスシステムの整備が図られ、大規模複合施設としての「リージョンプラザ」の建設も進められた。

地域経済の振興を広域的総合的に推進するための「地域経済活性化対策」(1984年から、それ以前にも78〜80年度の「特定不況地域振興総合対策」81〜83年度の「地域経済振興対策」がされていた。)、広域的に個性的で魅力ある地域づくりを推進するための「まちづくり特別対策事業」(1984年度から)、さらに「リーディングプロジェクト」(1986年度から)が進められたが、これらの施策においても広域市町村圏が担い手のひとつとしてその機能が期待されていたのであった。

ふるさと創生及び四全総(87年策定)による多極分散型国土形成の推進とも関連して、広域市町村圏の中から「ふるさと市町村圏」を選定し、ふるさと市町村圏には、県域内市町村の事務の一部を共同処理する複合事務組合等の広域行政機構をおき、その広域行政機構に構成市町村からの出資都道府県の助成等によって、ふるさと市町村圏基金を設置し、その果実を活用し、ソフト的な事業を始め、広域的観点からする多様な地域振興事業を積極的に進めようとする政策がとられた。

ふるさと市町村圏は、平成元年度から順次選定され、元年度32、2年度30、3年度20、4年度32というペースで選定された(現在、ふるさと市町村圏は180となっている。)。

平成4年度過疎地域問題調査会は国土庁の地方振興対策調査報告書として、「過疎対策の広域的戦略手法に関する調査研究」を公刊しているが、その際の現地調査対象(全国で10か所)は、過疎地域市町村を含むふるさと市町村圏の中から選定された。

 

2. 新・全国総合開発計画(21世紀のグランドデザイン)の「参加と連携」

 

さて平成10年3月31日の閣議で決定された四全総に続く新しい全国総合開発計画では、「参加と連携」を大きくとりあげている。

 

 

 

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