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これは、地域づくりについて、行政のみならず、住民、住民組織、NPO、ボランティア、民間企業など多様な主体の参加を積極的にすすめるべきであり、かつ、行政も住民等の活動も、行政単位の枠を越えて連携していかなければならないとしているものである。この調査では、それを「広域的連携」とよぶこととした。

地方自治の現場では、最近、住民参加が重要な課題となっていることは、あらためて言うまでもないが、情報公開、規制緩和、活動支援策の推進等を通じ、地域づくりにおける住民参加と合意形成のシステムを整備し、併せて、広域的連携を推進するに当っても、連携を行う基礎として、連携を行う地域の住民同士が交流し、互いの地域への理解や共感を深めていくことが期待されている。

前述の平成4年度の過疎地域問題調査会の調査では、行政主体の広域的取り組みの研究が中心で、住民参加の側面には、あまりふれられていない。そこで、住民との協働を含む広域的連携をあらためて研究する必要がある。

なお、新しい全国総合開発計画策定作業の一環として、過疎対策という視点からではないが、国土庁地方振興局(農村整備課)と(財)21世紀村づくり塾による「広域連携整備に関する調査」(平成8、9両年度)がある(その概要は、第3章座談会の冒頭で紹介されている。)。もちろん、今回の調査は、先行のその調査をふまえて行うこととしている。

 

3. この調査の目的と方法

 

平成11年7月、いわゆる地方分権一括法が成立し、同法による新しい地方自治制度が平成12年4月から施行されることとなっており、一方、過疎地域活性化特別措置法も10年の期間を終え、12年度から、新法への移行が予定されている。

新過疎法による過疎対策は、新しい全国総合開発計画の言う「参加と連携」をおりこんで進められることとなろう。そこで、過疎対策における「参加と連携」についての幅広い体系の構築が必要となるが、住民、住民組織等多様な主体を含む「参加と連携」は、現在、発展の途上にあり、にわかに体系化しがたい。そこで、この調査では、分野を限定せず、多様な広域的連携について調査の上、すぐれた事例を提示し、過疎地域市町村の参考に供することとした。

この種の調査では、過疎市町村全部に対しアンケートを行う悉皆調査をするのが通常であるが、住民等をも含む「広域的連携」は、前述のように発展途上であり、行政ベースでの広域的過疎対策については、前記平成4年度調査の際に悉皆調査をしているので、今回は悉皆調査をとりやめ、次のように事例調査をすることとした。

 

 

 

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