11 バス
都市バス事業
地下鉄や新交通システムの開通や交通渋滞の悪化、人々の健康志向の高まりを背景に、三大都市圏では利用者数は1972年をピークに減少し続けている。交通渋滞の悪化はバスの運用効率の低下と人件費率の増加をもたらし、都市バス事業者、とりわけ人件費の高い公営バスの経営を圧迫している。そのため、浜松や山口などのように、赤字に悩む公営バス事業を既存の民間のバス事業者に移管する都市が増加している。多くの事業者は、路線網の見直し、新型バスの導入やバス・ロケーション・システムの設置、複数事業者間で利用可能なプレミアム付きプリペイド・カードの導入など、経営の合理化や利用客の増加策を実施しているが、利用者数の回復には至っていない。
地方バス事業
マイカーの普及や過疎化の進展に伴い、1969年をピークに利用者は著しく減少しており、現在の利用者数はピーク時の半分以下に落ち込んでいる。その結果、80%以上の乗合バス事業者が赤字を計上しており、地方の乗合バス事業は、国や地方自治体からの補助金や、収益性の高い高速バスなど他事業からの内部補助で支えられている。制度上、平均乗車密度が5人未満の路線では補助金が原則として5年間で打ち切られるために、自治体が代替バスを走らせたり、タクシー会社や貸切バス事業者に限定免許を与えて乗合バスの運行を行わせる事例が増えている。また、民間のバス事業者の中では、分社化によりコスト削減をはかる動きが広がっている。