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高速バスネットワークの拡充

1960年代、東京−神戸間に高速道路が開通したことを契機に、国鉄(現在のJR)や民間の乗合バス事業者は相次いで高速道路を経由した長距離バスの運行を開始した。しかし、その後は利用者の伸び悩みや運輸省の路線認可上の問題から、1980年代後半まで事業者数、路線数の伸びは小さかった。1988年以来、東京(品川)−弘前間の長距離夜行高速バスの大成功を受け、地域のバス事業の赤字に悩む地方バス事業者は、都市バス事業者と組んで大都市と地方都市を結ぶ路線に続々と参入し、路線数はこの10年間に4倍以上に増加している。特に夜行便は速達性、快適性、運賃の面で鉄道に比べ優位に立つため、ネットワークが拡大しており、夜行列車は次々と廃止に追い込まれている。

 

乗合バスの規制緩和

従来、運輸省は、需給調整によって新規参入者を阻止する一方、運賃・料金規制によって事業者に適正利潤を含む費用を償うような運賃を設定させることで、内部補助が可能となり、事業者は地域のネットワークを維持することができた。しかし、このような規制は自発的な創意工夫によって増収を図ろうとする事業者の足枷となること、運輸関係の規制緩和が求められていることから、規制緩和後もネットワークが維持される対策をとることを前提としながら、2001年度までに需給調整規制の廃止とその際に運賃・料金に関して上限価格制の導入を行うことが決定された。それに先駆け、1997年度から認可運賃を下回る普通運賃の設定が可能になるなど、運賃・料金規制が弾力化された。

 

 

 

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