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タクシー事業におけるゾーン運賃制

運輸省は、タクシー運賃の多様化促進の一環として、1997年4月よりゾーン運賃制を導入した。タクシーの運賃は、それまで原則として平均原価方式により、すなわち運賃ブロック単位で平均原価を算定して認可されていた。ゾーン運賃制は、平均原価を上限として10%下までの範囲内であれば、自由に運賃の設定を認めるものである。ゾーン運賃制の導入は、各方面からの規制緩和要望(タクシーの規制緩和タクシー運賃の多様化の項参照)、1996年12月の航空における幅運賃制の導入、1997年1月の鉄道における上限価格制の導入に続くものである。タクシーの場合、運賃の多様化が進んでいることもあり、1997年9月の時点で、上限運賃額を設定している事業者は、29運賃ブロック329事業者2,707両となった。

 

事業区域の最低保有車両数

法人タクシーが営業を行う場合、事業区域ごとに保有車両数の下限が義務付けられている。すなわち、その両数以上の車両を有しない場合の事業免許を認めない措置である。この規制の目的は、運行管理および整備管理を的確に行い、事故が発生した場合の補償や事故後の処理を的確に行うために、一定の組織・体制を整えることが必要なためとされている。一方、最低保有車両数の基準は、参入の1つの障害になるとして、基準の大幅な引き下げないし廃止が提案されることがあった。これに対し運輸省は、最低保有車両数の基準について、1997年3月に閣議決定された規制緩和推進計画を受けて、最大60両となっていた車両数を最大10両に引き下げている。

 

 

 

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