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内航海運の安全確保対策

運輸分野において安全確保は最も基本的な課題である。このため、需給調整規制が廃止された後も、以下の点において安全規制が行われる。(1)乗降設備等輸送施設の安全性や船舶交通上の安全性等の審査、(2)運航管理規定の策定および届出の義務や運航管理者の選任義務、(3)安全確保命令、保険契約締結命令、(4)安全確保上必要な場合において立ち入り検査および安全のための検査である。現行の海上運送法では対象となっていない海上タクシーや内航RORO船についても、有償・反復的に旅客を運送している場合、安全確保の方策が求められよう。

 

旅客船運賃制度のあり方

事業者による自主的かつ弾力的な運賃設定が可能となる制度とすることが必要である。このため、できる限り行政の関与をなくし、自由なものとするのが適当である。しかしまったくの自由とした場合、特定の旅客に対して不当に差別的な運賃が設定されたり、独占的な航路において運賃が著しく高騰する可能性がある。一方では他の事業者を排除するための市場収奪的な運賃設定が行なわれ、結果として利用者が不利益を被る可能性も懸念される。このため、需給調整規制廃止後の運賃制度については事業者が運賃適用にあたって事前に届出を行なう事が望ましい。そして届け出た運賃について利用者の利益が著しく阻害されると認められる場合に限って、行政が是正のために必要な指示ができることとすることが適切である。

 

 

 

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