1] 政策決定過程における市民参加の新方式の創出
市民の意見をより細やかに行政に反映させるため、これまでの市民参加方式の他に、フォーラムやパネルディスカッションなどを問題となっているケースごとに使い分け、分野に即した市民参加方式を開発している。また、政策決定過程の早い段階での情報提供・市民参加にも努めている。
2] 市民志向(顧客志向)の行政活動への再編
・「市民代理人」
ドイツ版オンブズマン制度で、行政と紛争関係にある市民の中立的機関として、行政内部調査や議会における具申等を行うもの。この制度の導入により、行政と市民の間の訴訟件数は減少したとされている。
・「市民事務所」
住民登録や生活保護、住宅補助など、これまで複数事務所に分かれていた市民向けの行政サービスを全て一つの事務所で対応し、たらい回しをなくし、手続き時間も大幅に縮小した。職員には幅広い業務をこなすことが求められるため、ジョブローテーションや研修による職員能力向上、情報通信技術の整備が進んでいる。
・「ワンストップ・エージェンシー」
市への進出企業の相談を一括して引き受ける窓口を設置し、企業への迅速なサービス提供を図るもの。
3] 行政管理・責任分権による経済性の向上
・行政管理の徹底
不経済な建設投資を回避するため、一定額(100マルク)以上の建設投資はあらかじめ事業の経済性を審査する管理システムを開発・導入したもの。この他、手数料など原価計算が行われる分野においては、コストと利用者数の変遷を手がかりにして運営方針見直しの迅速化を図っている。
・資源責任の分権化
図書館や劇場などは独立採算企業とみなし、事務権限や人的・財政的資源の裁量権を与え、能率的かつ顧客志向のサービス企業体への転換を目指している。
このようにハイデルベルグ市のケースは、企業経営のエッセンスを盛り込みながら行政機関を顧客志向で効率的なものに転換していく過程で独創的な取組を行っており、日本の行政機関においても見習うべき点が多いと思われる。