日本財団 図書館


・また、「町民講座」についても継続して開催し続ける事で、最近は固定化した住民にプラスして新しい参加者も増え、担当する職員もやりがいやおもしろさを感じるようになってきたということである。

・住民検討会議の例でいえば、住民との争点になりかねない情報について隠すのではなく、極力会議にかけ、計画の最初から住民に参加してもらうことによって、検討の内容や議論の収束過程を住民の目の前であきらかにしたことにより、反対する住民でさえも納得まではしなくても、理解してくれているのが現状だということである。現在までに、迷惑施設などの大きな争いになるものはなかったが、住民検討会議の実績を積み重ねてきたので、本当に争点となるような課題についても乗り切れる自信もあるということであった。

 

(3) 今後の課題

ニセコ町で今後の課題として考えられているものは以下のようなことである。

・直接会議に参加してもらうことが前提の情報共有化の為、会議に参加してもらう住民の負担を行政が常に意識していなければならないこと、そのため誰が途中から会議に参加してもいいように、会議における話の積み上げを整理しておく必要がある。

・現在、取組を行っている政策意思形成過程への住民参加の仕組みを条例化し、町長やまわりの者が変わっても、何かをつくるにあたって、住民の意思がなければ決められないシステムを構築するためのルールづくりをおこなうために、全国初の「自治基本条例」制定にも取組を開始している。

 

(4) 考察

・行政と住民との接点となる情報を、「住民に最もわかりやすい方法は何か」という視点で試行錯誤を繰り返して、現状の住民との共創・協働体制を築き上げている。官民の接点となる情報システムの充実を図る場合に、「行政側が提供しやすい」という都合だけでなく、住民にとってどの手段が最も適切なのかを考えることは重要な点であることを再確認させらる事例である。

・実際に、役場内ではネットワークがひかれており、情報システムに対応できる基盤は整っていると思われるため、町内にネットワークを使った情報システムができたとしても比較的スムーズに移行できるのではないかと思われる。今後、ニセコ町に情報化の波が訪れた場合、現在のソフトの地盤を活かして、さらなる住民との密接かつオープンなコミュニケーションが創造されることが期待される。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION