(3) 今後の課題
大和市で今後の課題として考えられているものは以下のようなことである。
・行政と市民が協力して地域や都市の情報をサーバーに蓄積し、これらの情報から導かれる課題を共有することで市民意見の反映可能性を高める必要がある。
・インターネットを活用している人々は、インターネットを通じて情報を得ており、情報をメーリングリストなどで行政側から適宜届けることで、コミュニケーションが活発になると考えられ、議論の継続性を確保することで、その解決策を発想する契機を市民にも、行政にも与える可能性がある。
・時間的、空間的な制約を受けないインターネットは、地域まちづくりへの大きな参加の窓口として機能する可能性を秘めているが、まだ一部の家庭にしか普及しておらず、情報弱者などにも配慮しつつ、市民の利用環境を整備することが必要である。
・電子会議室では意見数が減少していくので行政側から議論を投げかけるようにする。
・市民からの質問には必ず担当職員がすぐに回答するなどインタラクティブ機能の強化を図る。
・基本的な仕組みの説明とその後どうするかの選択などを繰り返し説明し理解を図る。
・市民が行政情報を楽しみながら学べるようにパソコンのプログラムを構築する。
(4) 考察
・ポスターセッション等、従来型の市民参加の手法に加え、インターネットを活用してより幅広い層の市民意見の収集を図る試みとして、その参加者アンケート結果から充分な結果が得られている。また、本実験後においてもインターネットの普及率はかなり伸びていることが予想され、こういった手段を試行錯誤で定着化させていくことにより、今後より一層の市民参加の機会がひろがってくるものと思われる。
・実験結果から、インターネットによる参加者の理解度の低さを分析しているが、この点については、今後ポスターセッション等のフェイストゥフェイス方式との比較により、予想される質問のQ&A方式での掲載など情報提供方法の工夫を図ることにより改善していくものと思われる。
・大和市の実験をきっかけにインターネットを市民参加の新しいツールとして活用しようとする自治体が増えてきたが、こういった取組による試行錯誤の結果が広く情報発信により共有化され、官民接点情報システム自体が住民にとって受け入れられやすいシステムへと改良されることが期待される。