2-3-3 大和市「都市計画マスタープラン策定等に係るインターネット活用」
大和市は平成7年に、都市計画マスタープラン策定における市民参加の手段の一つとして全国で初めてインターネットを活用した試みを行った。その後も、まちづくり条例、環境基本条例の策定、総合計画の見直しなどにもインターネットを活用して、市政への市民参加の拡大を図っており、住民との接点となる情報システムの活用により政策過程の透明化を図っている。
(1) 都市計画マスタープラン策定におけるインターネット活用の経緯
この研究は、平成4年の都市計画法の改正で、都市計画マスタープランにおける市民参加が明確に位置付けられたことをきっかけとして、職員によるプロジェクトチームからの政策提案によるボトムアップというかたちで導入され、新しい計画情報の提供、市民意見の収集手段として実験的に行われたものである。本計画のねらいは、従来型の説明集会や計画策定組織への参加といった従来からの市民参加の方式に加え、インターネットを活用することで参加の底辺を拡大し、行政と市民との情報の共有化を高め、政策過程の透明化を図ることができないかというものであった。
大和市では、都市計画マスタープランの策定過程で繰り返される文章、図面等の修正作業の負担を軽減するとともに、次回の見直しにおいても、この資源を有効活用するために、もともとそこで作成される文書や図などの各種データをコンピュータに蓄積しながら作業をすすめていた。こういったデータがデジタル化されていたためにインターネット資源への流用が可能であったということである。導入にあたっては、こういったデータをインターネットによる市民参加にどう活かすかといった議論を重ねながら調査をおこなっており、当時、国内には計画策定においてインターネットを活用する意見収集事例はなかったため、計画プロセスにおいてかなり自由度のあるアンケート収集を行っているイギリス・チェシャーカウンティのストラクチャープランを参考にしたということである。また、平成7年6月当時のインターネット利用調査では、利用者は性別で男性が96%を占め、年齢では34歳以下が80%、職業では会社員が44%、学生が36%であり、活用計画では、インターネット活用のメリットとして
・24時間計画情報にアクセスが可能であること
・計画に参加の得にくい若中年男性、専門家などへの周知と意見収集が可能なこと
等を挙げている。