医療福祉に関しては、村民の25%を65歳以上の高齢者が占めているのにも関わらず医師が常駐しておらず、しかも公共交通の便も悪いため、高齢者が周辺地域の病院へ通院するためには、丸1日を費やすことも少なくない。また教育環境としても、児童・生徒が少ない上、村内に図書館や書店、映画館等の文化施設がない為、子供達が多くの人や文化に触れ合い、交流する機会がない。さらに、地域社会環境としては、過疎化の上、農業を基幹産業としているため家々の距離が離れており、住民間でコミュニケーションを図る機会が少なく、地域住民の連帯感が薄れてきていることも挙げられる。このような状況を勘案し、葛尾村では「マルチメディアビレッジ構想」を提唱して、これらの課題の解決を図っているところである。
取組の経緯としては、第一段階として平成3年に中学校にパソコンを整備し、選択科目の学習として活用、成果を上げている。さらに、平成6年には「100校プロジェクト」対象校に選定され、インターネットにも接続し、積極的にプロジェクトに参画している。また、小学校においても、平成8年に「こねっとプラン」対象校に選ばれ、ネットワークを活用した学習に成果を上げている。こういった教育分野での情報化の成果に着目し、葛尾村では、役場内でのOA化及び地域情報化施策についても積極的に進めていくこととなった。そのような状況下で、郵政省補助事業「自治体ネットワーク施設整備事業」の適用を受け、さらにNTTとの共同事業として村内全域へのテレビ電話貸与を受け、本計画の実現に至っている。
(2) 提供サービスの内容
現在、村民に提供を行っているサービスとしては、以下のものがある。この内、特に医療・保健・福祉分野の活用については、主たる対象者が高齢者であるため、テレビ電話やタッチパネル式の端末を利用することにより、情報機器の操作に慣れていない住民にも、容易に操作できるシステムを構成している。
1] 保健・福祉・医療に関する活用
○ テレビ電話とバイタルセンサーによる在宅健康管理
住民宅のバイタルセンサー及びISDN回線を介して、心拍数、血圧等の測定データを役場住民課にあるデータベースサーバーに自動転送し、役場内の医療測定データセンターにおいて保健婦が測定データを確認する仕組みとなっている。測定データより、健康上の問題が見られた場合には利用者宅を訪問するなど、テレビ電話により、健康相談、栄養指導などを行い、疾病予防・早期発見に努めている。