(5) 考察
・現在、インターネットによる情報提供は、国や自治体において積極的に行われているが、利用者はパソコンユーザ(インターネット・ユーザ)にほぼ限られるため、実際にはパソコンを利用できる住民と利用できない住民との情報格差は拡大していると想定される。また、家庭からのアクセスについては、パソコン購入費用や電話代がかさむ、接続の手間が面倒等の問題がある。
これに対し、本事例では、全世帯に普及しているCATV網を利用しているため、
・行政情報サービスの利用や地域内での通信に関しては、通信コストが不要。
・家庭のテレビからリモコンで操作できるため、誰でも容易に利用可能。
・パソコンと比較すれば、装置も安価で導入も容易。
等のメリットが得られている。
・現在のところ、実験段階ということもあり、整備費用については町の負担となっているが、本施策により高齢者を含めた住民全体の情報リテラシー向上が達成されれば、他の自治体にとって重要な先進事例となることが期待される。将来的に、高度情報通信インフラが整備され、誰でもが安価で通信回線を利用できる時代が来たとしても、誰でも利用できるシステムやアプリケーションまで整備される保証はなく、その観点では、使いやすさと高い普及率を目指した本事例は、行政側が安価でかつ公平に住民に対し、行政サービスを行い、かつ住民からの意見も収集できるシステムとして、官民接点行政情報システムの将来像を模索するものと言える。
・現在のシステムでは、メールでの文字入力について、英字キーボードを利用したローマ字入力となっているが、これについてもかな入力キーボードの早期導入が期待される。