[不満足空間への対応(無関心化戦略)]
顧客の評価が低い表層サービスについては、予算に余裕があれば強化することも考えられるが、表層サービスは本質サービスと異なりサービスレベルが低くてもCSがマイナスにはならないため、顧客の期待を下げ、潜在的不満足空間に移す戦略もありうる。
[潜在的満足空間への対応(過剰削減戦略)]
表層サービスは、投資によりCSを向上させる効果はあるが、その商品・サービスにおいて本質的なものではないため、顧客の期待が低い場合にはサービスを必要最小限に抑え、コストを削減するという戦略も考えられる。
[潜在的不満足空間への対応(低プライオリティ戦略)]
顧客の評価も期待も低い表層サービスについては、サービス全体に対する影響も、顧客満足度への影響も少ないため、格段の対応は行わず、現状の低プライオリティを維持する戦略が考えられる。
以上のように、本質サービスに関しては「いかに満足空間に移動させるか」が、表層サービスに関しては「いかに効率的に顧客満足度を上げるか」が戦略のポイントになる。特に表層サービスに関しては、投資効果を見極めて取捨選択することが必要であり、「不満空間」にある表層サービスでも、わずかな投資で評価を高められる場合には強化を図る選択も考えられる。その意味では、予算状況やサービスの特性も考慮し、柔軟かつ的確に戦略を立てることが必要である。
なお、これらのCS戦略は、行政機関にもかなりの部分がそのまま適用可能と考えられる。1-2節では、民間企業におけるCS戦略を行政機関のサービスヘ適用する場合について、比較検討を行うこととする。
1-2 企業と行政機関におけるCS適用に関する比較
本節では、民間企業のCS評価を行政機関に適用する場合に発生しうる問題点、課題を整理し、適用可能な範囲についての検討を行うことにする。