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また、表層サービスは、窓口での丁寧な対応や景品の提供、アフターサービスの充実、数年間の無料保守等、サービスメニューをいくらでも増やすことが可能であり、また増やせば増やすほど、内容を充実すればするほど、CSは向上すると考えられる。従って、表層サービスに投資するほどCS向上を実現することが可能と考えられるが、本質サービスの水準が低い場合には表層サービスがどれ程充実していてもその商品・サービスは顧客に受け入れられないため、表層サービスの充実は本質サービスの充足を前提とするものと言える。

 

以上のことから、企業は、限られた経営資源を効果的・効率的に運用するため、

 

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といった手順でサービスを充実させることが必要であると言える。

 

なお、顧客満足のモデルにおける「本質サービス」、「表層サービス」については、

 ・本質サービスは、一項目でも顧客の最低許容水準を割ると、商品・サービスそのものが受け入れられなくなる(項目間の代償作用がない)。

 ・表層サービスは、どれか一項目が低くても、他の項目が高ければ、顧客の満足を得ることができる(項目間の代償作用がある)。

といった性質に注目して分析する方法もある。この考え方に従えば、本質サービスについては全項目が許容水準を満たす必要があるという点では変わりはないが、表層サービスについては、投資効果が高い項目を優先することにより効率的にCS向上を実現することが可能と判断できる。また、いくつかの表層サービスにターゲットを絞り、サービスレベルを突出させることによって、他の表層サービスをカバーするとともにサービスの特色を出し、他社との差別化を図ることも可能となる。

 

(4) CS戦略の考え方

以上のような顧客満足のメカニズムを基礎とした、顧客満足化の統合的な対応戦略を示す。

 

 

 

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