また、逆に誇大広告等により商品に対して過大な期待を抱かせた場合、商品・サービスが選択される可能性は上昇するが、事後評価との差がマイナスとなるため、CSは大幅に低下することとなる。
(3) 民間企業のCS戦略
次に、顧客満足の実現のために民間企業が行っている戦略について、整理する。企業はまず、顧客の満足を確保するために、少なくとも以下の事項に関し、充実を図る必要がある。
1] 商品・サービスメニューの充実(選択肢の充実)
顧客にとっては、製品やサービスは、顧客の嗜好や予算に応じて自由に選択できることが望ましい。このため、企業としては、商品・サービスの種類の多様化、店頭販売・訪問販売・通信販売等の販売手段の多様化、商品の分量(価格)やパッケージの多様化等、顧客に選択肢を与え、顧客がニーズに合ったものを選択できるよう、配慮することが必要となる。
2] 商品やサービスの品質水準の向上
商品・サービスの品質が低ければCSが著しく低下し顧客離れが発生する可能性があるため、少なくとも顧客が満足しうる一定水準以上の品質を確保することが必要となる。ただし、顧客の商品・サービスヘの嗜好や期待度には個人差があり、全ての顧客の満足が得られるような品質水準を限られたコストで実現することは困難であるため、品質と価格の適度なバランスを図るなど、特定要素の品質向上に特に注力するといった重点戦略が必要となる。
3] 顧客とのコミュニケーションの充実
商品・サービスの種別、内容、品質水準、優位点等を的確かつタイムリーに顧客に伝え、商品・サービス選定の際に必要な情報や適度な期待を持たせることが必要となる。また、商品・サービスやアフターサービスに対する問い合わせに対し、的確かつタイムリーに対応する機能も必要である。
さらに、市場競争に勝ち抜くための顧客満足向上策として、上記の行動に加え、以下のような方策が必要とされる。