特に、個人情報が1つの市町村から他の市町村、県、国へ提供され、利用されることに対して、個人情報保護方策の充実が求められる。各機関は何らかの保護規定を有していたり、国家公務員法、地方公務員法で広く守秘義務が課されたりしているが、保護方策の内容、程度に差があるままで、個人情報が提供、利用されることは懸念されるところである。
改正住民基本台帳法では、受領機関の保護方策まで規定しており、特に問題はないと考えられるが、住所変更ワンストップサービスは、関連する機関、アプリケーションが多岐に及ぶことから、それぞれの機関における保護方策の整合性を確保することが必要とされる。
(4) 利用と保護の調和
現在検討が進められている包括的な個人情報保護方策においても、個人情報の保護と利用のバランスは重要な視点の1つとなっている。既に制定されている『行政機関の保護法』においても、その目的において、「行政の適正かつ円滑な運営を図りつつ、個人の権利利益を保護する」としている。ただし、両者の関係は議論のあるところであり、本法案の国会における審議過程において、「並列の関係にあるものではなく、個人の権利利益を保護することが第1の目的であると」という趣旨の答弁がなされている。さらに、「適正かつ円滑な運営の意味するところは、「行政機関の保有する個人情報は、各種行政運営の基礎資料となるものであり、その電子計算機による処理は、行政サービスの向上、行政運営の効率化などに不可欠の手段として大きく寄与しており、今後ともこの方向は推進していく必要がある」としている。保護と利用の関係のバランスを考える上での1つの考え方を示したものと考えられる。
(5) 民間活用
氏名、住所、生年月日、性別の基本4情報は、制度上は公開情報であり、本人の居住関係を公証するものであるから、保護方策の対象にならないのである。事実、銀行等のローンや民間における取引、契約等に使用されている。
上記のことからすれば、住所変更ワンストップサービスの拡張として、行政機関内の一括変更だけではなく、電気、ガス、水道等の公共サービス、銀行等の民間事業者の住所データも対象とすることも考えられる。