本人確認の方法として以下の点が検討されなければならないであろう。
(2) 面前の場合の本人確認
面前での本人確認は写真が貼付された公的身分証明書が伝統的な方法ではあるが簡便で確実な方法であるといえよう。しかしながら、日本にはこの写真つきの公的身分証明書がなく、運転免許証が代用されている。運転免許証を持たない国民については、健康保険証、住民票の写し等、公的機関が発行した証明書のうち2つを併せ提示させることによって確認している。
このような本人確認手続は以下の点から問題があり、特に、後者の場合には完全ななりすましを防ぐ方法にはなっていない。
1] 運転免許証は日本においてもっとも多くの国民が保有している、公的機関が発行した写真つきの証明書ではあるが、それでも保有者は国民の半数程度である。
2] 運転免許証は警察庁によって発行された、運転免許が付与された者であることを証明するものであって、本人確認手段として発行されたものではなく、いわば目的外利用というものである。本人確認手段として、発行主体の警察庁が責任を負うものではない。
3] 公的機関が発行した2種類の身分証明書も、例えば、住民票の写しは本人でなくても入手できるものであり、保険証等の紛失、盗難でなりすまされることは容易である。また、保険証等を悪意で貸し、それでももって、なりすまし旅券を不正に入手するという事例も出ている。この方式では、意図的ななりすましを防ぐことは不可能なのである。
(3) ネットワーク上での本人確認
現行の面前での本人確認は限界があることは既述のとおりであるが、それでも間に合わせの手段として利用されている。しかしながら、ネットワーク上での本人確認手段としては使えない。ネットワークを介して行政サービスの申請を行い、入手するためにはネットワーク上での本人確認手段が不可欠であるが、現在日本の行政機関には、全国民に付与され、すべての公的機関で利用可能なネットワーク上での本人確認手段がない。