<フィンランド>
(1) 行政情報化の取り組み
フィンランドにおいては、政府が1995年に「情報社会を実現するフィンランドの取り組み方法:国家戦略」と「フィンランドにおける情報社会の構築:原則の決定」を作成し、国家的な情報化戦略を明確にした。また、政府は1998年12月、行政サービスや民間金融サービスなどのセキュアな情報基盤として、国家的な公開鍵基盤(PKI)を構築することに決定し、プロジェクトを開始した。
フィンランドは、近年5%以上の経済成長率を実現し、1998年は財政が黒字に転化した。政府機関の民営化やエージェンシー化にも積極的に取り組んでいる。また、インターネットやホワイトカラーにおけるコンピュータ利用率は世界でもトップクラスであり、携帯電話の普及率は加入電話を上回っている。
(2) FinEIDプロジェクトの概要
情報化において先進的な風土をもつフィンランドにおける行政情報化の取り組みのなかで最新情報として特筆されるべきものは、国民個々の識別とデジタル署名作成の機能を備え、パスポートとしても利用可能なスマートカード(FinEID)の導入プロジェクトである。
FinEIDは、最新の暗号技術を国際標準やインターネット標準、またはEU指令などに準拠した公開鍵基盤(PKI)によるセキュリティを施して使うスマートカードである。世界的にも前例が乏しかったことから、まずパイロットプロジェクトが企画・実施され、それと平行して実システムに必要な技術仕様が順次決定されていった。
FinEIDプロジェクトは、内務省国民登録センター(PRC)を中心に、内務省、司法省、財務省、運輸通信省、社会保険省などの中央政府機関のほか、ESPOO市などの自治体、社会保険協会や民間企業から構成され、1998年8月からプロジェクト開始した。
PRCは、国民とフィンランド在住の外国人に対し、個人識別番号(PIN)を付与し、関連する個人情報を登録する。個人識別番号は、
・生年月日
・個人番号
・コントロールサイン
からなり、PRCの国民情報システムで一元的に管理される。国民情報システムが保有する個人情報利用に関しては、国民情報法(1993年)などにより厳しく管理され、現在は選挙、課税、社会保障、法執行、統計などで利用されている。ただし、銀行や病院などでも個人識別番号を利用している。