電子投票を可能にするスマート投票カードヘの道のりはまだかなり遠いが、それに向けた変化の第一歩と評価できよう。また、分権化の流れに沿って、国が行っていたこの事務が州に委譲されるようになる。
イタリアでもこれまでは日本と同様、選挙が実施される度に、有権者のもとに選挙人確認証が送付されるが、これには莫大な費用と事務作業が必要とされる。現在、例えば州選挙の場合、証明書の印刷に75億リラ、送付に700億リラ、つまり選挙毎にほぼ775億リラが費やされる。
新しく導入される投票パスポートには、そのパスポートの保持者の氏名と選挙区、使用規則などが表示されたうえ、国政、州、県、市、ヨーロッパ議会、国民投票などあらゆる種類の投票を合計18回まで受け付ける押印欄が設けられる。投票の度に有権者は、この押印欄に証明印を押してもらうことになる。従来通りの方法ならばその回数分だけ選挙人確認証を印刷、送付することになるが、それに比べておよそ18分の1の出費で済み、たいへんな節約が可能になる。2000年春の州選挙の際に初めて導入される投票パスポートの印刷費80億リラは国が負担、送付コストの700億リラのみが州の負担となる。
投票パスポートを持つ有権者が引っ越しした場合や亡くなった場合、これらのパスポートが不正などに用いられることもあり得るのではないか、などの懸念はまだ完全には払拭されていない。今後、不正行為を防止するための諸対策が講じられることになろう。また、電子投票に向けての研究、開発も進められている。スマート・カードを使った電子投票が実現すれば、有権者にとって便利であるばかりでなく、開票、集計作業の効率は飛躍的にアップし、コストも減少する。人的なミスを減らし、誤差を少なくするのみならず、不正行為を防止することにもつながる。
選挙人確認証のみならず、証明証の電子化は、さまざまな分野において進められている。現在、身分証明証をはじめ、健康保険証、運転免許証などについて、スマート・カード化が目前に迫っている。将来の電子IDカードには、氏名、性別、生年月日、生まれた場所、現住所など従来からの標準的な個人データの他、健康保険番号、血液型などの情報も盛り込まれる予定である。そして、これからの「サニティ・カード」は、健康保険証とカルテを一体化したものである。伝統的な健康保険証にも示される基礎的な情報に加え、カード保持者の病歴や治療経過などが、カルテを更新するように書き込まれてゆく。
これまでの紙の身分証明書(IDカード)に変わって、イタリアでは近い将来、電子IDカードが発行される予定である。