バッサニーニ行政改革の一つ、行政手続きの簡素化は、まず、最も悪名の高かった証明書の世界に入ってきた。これまでイタリアでは、何らかの行政的な手続きをする際、必ずと言っていいくらい、出生証明書、サインが本人のものであることを示す証明書、住民証明書などが必要であったが、これらを市役所で発行してもらうのには、時間とお金(手数料)がかかる。この作業を社会的に補完していたのが公証人で、イタリアに公証人が多いのは、このためである。
99年2月に実現したのは、これらの証明書を機械で自動的に発行する制度であり、窓口業務を減らし、市民の直接のアクセスを保障するものである。イタリアでもIDカードはいずれ、チップなどに情報を記憶させたキャッシュ・カード状のスマート・カードになる予定であるが、それが普及したならば、自分のIDカードから、あらゆる種類の証明書を作ることができるようになる。
もっとも、バッサニーニ氏によれば、手続き自体の簡素化ももう間近だという。このままのぺースで改革が進めば、日本の行革よりも進みそうだ。
行政窓口のワン・ストップ・サービスは、99年3月中にはかなりの自治体で導入され始めた。電子サイン認証システムも、同年4月の復活祭の頃から次第に導入されている。
シンガポールなどにおいて先駆的な実験が行われているこれらのシステムが本格的に導入されれば、イタリアの行政は、ヨーロッパ諸国の中でも一歩先を行くものとなる。国内的には、ここのところやや停滞していたのではないか、と見られていた行政改革に対する政府の意気込みを確認するものともなる。
これに伴い、コムーネ(市)の機能や役割を変更、修正するための法的な諸手続きが既にとられている他、南部の318コムーネについて、27のパイロット・プロジェクトが動き出しているという。
公的書類や契約において正式な効力を持つ電子サインについては、99年1月末に決定した技術的な規則を基に、サインの登録、確認などを行う民間のオーソライズ機関が組織される。
また、これらの新プロジェクトをスムーズに実施するために不可欠な公務員たちのトレーニング、教育も行われている。ヨーロッパ共同体の補助金などを利用した1兆リラ規模の教育プログラムが実施される。