出生時からコードが必要とされる理由は、遺産贈与等の財産の移動などが発生するためである。財務コードは企業に対しても付番されており、物品の運搬、財務収支報告書の提出時等に必要となる。
財務カードに蓄積されるデータは以下の項目である。
1] 何を購入したのか
2] 固定資産
3] 年金給付、所得申告
4] 車、船舶、飛行機など動産の購入
5] 医療施設利用、補助収入、
6] 公立学校入学、学費負担(一定以下の収入の場合学費免除がある)
7] 寄付行為、破産経歴
* 犯罪歴はプライバシー保護の観点から入っていないが、データ次第では、特別な職業(弁護士など)にはつけなくなる。
現在は、全国民を対象に付番しているのは「財務コード」のみであるが、保険関係は「健康カード」、運転免許証は「運転免許コード」、本人確認には市役所が発行する「IDカード」といった各コードによって管理されている。
財務コードは、現在は個人や企業の納税を伴う資産移動を管理することにより、徴税業務を公正かつ適確に行うことおよび脱税の防止など、純粋に財務上の目的のためにのみ利用されているが、将来的にはスウェーデンのように行政面でも同コードを利用していきたいという意向があり、上記の様々なコード体系を統一化していくことも検討されている。
(5) プライバシー保護に対する文化的背景
イタリアにおける財務コード管理は、徴税という目的に関して国民総背番号制を実施し、それなりの効果を上げている非常に実際的な仕組みである。また、1970年の導入時点においても、特に反対もなくスムーズに導入されている。
日本では住民台帳などにおける番号制の導入そのものに賛否両論があるため、なんらかのコードによる全国民の個人認識のしくみは未だ実験の域を出ていない。イタリアにおいてこれらの仕組みが国民に受け入れられているのは、全人口の90〜95%がカトリック教徒であるという文化的背景にあると思われる。教会が人の一生をすべて司り、誕生時の洗礼から結婚、葬儀に至るまで、個人・家族・親族の全てを教会に掌握されているのが当然であるという意識から、宗教上の教会への「登録」に連なる個人登録レベルについては心理的抵抗が少ないのだと考えられる。