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印鑑証明書は印鑑登録証を役所に持っていくことにより得られるものであり、通常は印鑑証明書を携帯するといったことはほとんどなく、必要に応じて発行してもらうため、常に家に置いてあるものでもない。しかし、印鑑登録証を盗まれた場合、空き巣などの犯人がその家の住所、住人の氏名などの個人データをある程度知っていれば印鑑証明書を不正に入手可能ではあると言えよう。

顔写真付きの証明書であるが、運転免許証、パスポート、外国人登録証は国家の行政機関が発行するものであり、その偽造は大変困難である。また顔写真部分も証明書内に埋め込まれている形になっているため、偽造の痕跡を残さずに顔写真を入れ替えることも難しい。しかし、社員証と学生証に至っては、発行機関は不特定多数であるため、確認する側も本物と偽物の区別を付けるのは困難だと言えるだろう。聞き慣れない会社の社員証を見せられても、それが偽物だと断言できる証拠は無い。しかも、顔写真が埋め込み型でないタイプのものも数多く存在するため、差し替えによる偽造もそれほど困難ではないと考えられる。

顔写真が埋め込まれている運転免許証でも、その顔写真は場合によっては何年も前に撮影されたものであることもある。似たような顔であれば、本人だと主張された場合に、別人であることをその場で立証することはほぼ不可能であるといえよう。また、実際に起きた事件としては、一卵性双生児の兄が弟の運転免許証を運転時に使用していたために、長年に渡って無免許運転が発覚しなかったという事例もある。

このように、現行の個人認証はネットワーク時代の到来に向けては非常に甘いものであることが考察できる。

そして個人認証のもう一つの手段としては、クレジットカードによる決済が非常に広まっている。クレジットカードを使用する場合、通常は本人の署名が必要である。署名が一致しない場合はカードの使用が無効になる。しかし、インターネットが発達した現在、オンラインでのクレジットカードの使用には署名は必要ない。他人にクレジットカードを盗まれた時点で、非常に危険な事態に陥ってしまうのである。さらに、オンライン通信販売などに必要なのは、物理的なクレジットカード本体ではなくて、カードに記載された番号だけであるので、例え本人がクレジットカードを所持している状態であっても、どこかで一度他人にカードに記載されている情報を見られていれば使用されてしまうのである。

現在、日本国内ではクレジットカードの作成は容易であると言えよう。未成年でも限度額などの上限は異なるが、リボルビングにより分割払いすることも出来、学生のカード破産なども珍しいことではなくなっている。

 

 

 

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